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第3回『みんなで考える「どう守る私たちの世界遺産」』
(平成21年)報告5頁

テーブルB報告 テーブル進行役 山村 みや子

発表する 山村さん
発表する 山村さん
進行状況
テーブルBの担当地域は長谷・極楽寺の辺りでした。具体的には極楽寺・仏法寺跡・一升桝遺跡・鎌倉大仏・大仏切通・北条氏常盤亭跡の6か所です。
ワークショップ前半では、これらの遺産の特質や問題点を洗い出し、良いところ悪いところを抽出してゆきました。後半はそれらの問題点を理解したうえで、遺産を“どう守る”かについて具体的な意見や提案を出してもらうことにしました。
当日の参加者は、逗子市と川崎市から1名ずつ、鎌倉から進行役を含め3名、市職員が1名で、始めに自己紹介をして、ワークショップ参加にあたって、遺産への思いなどを各自が披露しました。 川崎市のDさんは、各地の検定にのめり込んでいる歴史の達人で、鎌倉の世界遺産登録のプロセスに参加したいとまでおっしゃる方でした。 逗子市のSさんは、現役時代のお仕事の関係から、浄財で造立された大仏を始め鎌倉の史跡には大いに興味を持っているというお話でした。 市内関谷に住むHさんは、市民ボランティアとしてケーブルテレビで番組作りをしているディレクターさんです。 梶原のYさんからは、鎌倉にはまだまだ知られていない史跡がたくさんある、と福澤さんのレイヤー的発想を裏付けるコメントが出てきました。 市の職員のFさんは、世界遺産登録を目指す際は一方的にならない視点が大事だ、と強調しました。
作業開始
まず史跡の現状を思いつくままに発言する⇒次に解決したほうがよい課題を挙げる⇒最後にそれらの問題を解決するための具体的な方法を提案する、という流れを作りました。 お互いの発言にヒントを得ながらグループ内の話し合いは盛り上がりましたが、初対面の壁も感じていたのではないでしょうか。
討議と提案 ( →青字が提案
[北条氏常盤亭跡]
1年を通し草が生い茂っている→原っぱをどう整備するのか、個人財産の制限や費用問題が大きい
ボランティアを募集して草刈りを行う、
建物の復元か現状維持かの結論は出せない
[仏法寺跡]
和賀江嶋を望める眺望が素晴らしい、現在は未公開の上原っぱだ、歴史資料が乏しい、鎌倉史跡の詳しい紹介が個人のホームページにはある →鎌倉市には詳しい紹介がない
紹介資料の作成とどう整備するかの展望が必要だ
[一升桝遺跡]
中世の軍事的遺構が残っている、現在は未公開、草が生い茂っている
人が入れないから整備もできない、人が踏み入ると遺跡は崩壊する
とりあえず遺跡資料の作成を急ぐ
非公開の2か所については直近までの道を至急整備
歴史的意義や当時の状態を現在の地図に描き、小冊子を作成
[大仏切通]
原風景が残り鎌倉らしい、柱標が設置してある、工事のため立ち入り禁止→道がわかりにくい、案内板が不足→ここまでの4か所は自然が非常に多く残っている
自然遺産的な切り通しに大勢の人が踏み入ってもよいのかの議論も必要
非公開施設を公開にするのは必ずしも良いとは限らない
[鎌倉大仏]
威容の大仏が人々の浄財で守られてきたことに感銘を受ける、敵の襲来から鎌倉を守る軍事的な拠点でもあった→大仏殿の建物は必要か
露座でよい
[極楽寺]
鎌倉の港であった和賀江嶋の入港船の荷揚げ料は、差配を幕府から任された極楽寺に入った。  鎌倉時代は医療・福祉施設、盛時は広大な境内→現在の規模は小さすぎる、候補地コアの拡大は可能か
訪問者のために忍性墓の公開日を増やすという考え方がある一方で、
遺産を守るためには特定日公開のルールも重要
訪問者のガイド役は地域の人が担う
[全体]
史跡保存のためにはお金が必要、東西南北に軍事的拠点としての遺産がある、切り通しに案内板が少ない→奈良京都に比べ市域全体の文献が少ない、体系的な鎌倉学が必要だ
保存資金確保のために大仏のように入場料や駐車料を取れる仕組みをつくる、
寄付を募って保存する、募金箱を設置、
季節的な催しと絡めて史跡を公開する方法はよい、
鎌倉検定合格者をガイドに活用する
商工会議所・観光協会・鎌倉市は報酬などを手厚くしてガイドの人数を増やす
まとめ
今回のワークショップの目的は遺産を“地域で”どう守るのか、を具体的な形にしていくことでした。打ち合わせの折にそんな方向性を確認しました。
けれども話し合いには利害関係者である候補地近隣住民の参加がなく、お寺自身の考え方や要望についての情報も持ち合わせていませんでした。 進行役としてできるだけ具体的な提案を出してもらえるよう努力をしましたが、時間の制限もあり、発言の視点が一般的になるのは仕方のないことでした。 それでもBグループの提案にはすぐに取り組めそうなものがいくつもあります。できるところから事業としてすすめて欲しいと思います。 遺産を守り次代に引き継ぐためには、地域の「守り人」の存在が何と言っても必要だ、と遺産近くの住人・進行役のわたしはそう考えています。 候補地とその周辺の、何をどの範囲まで誰がどう守っていきたいのかを話し合える場が、今後たくさん作られることを期待しています。 次回ワークショップでは、候補地をとりまく山や川、道路、一般家屋などについても、文化遺産を支える景観資源としてどう配慮すべきかの具体的議論も望まれます。
テーブルBのまとめ
忍性墓への門扉
忍性墓への門扉
北条氏常盤亭跡
北条氏常盤亭跡
鎌倉大仏
鎌倉大仏
検討を進めるテーブルB
検討を進めるテーブルB

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