鎌倉世界遺産登録推進協議会
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武家の古都・鎌倉ニュース第3号

 

市民は、自分たちの力で自分たちの街を維持する
養老孟司会長講演会「生きているまちの世界遺産」開催

 2007 年3 月10 日(土)、鎌倉生涯学習センターホールで、鎌倉世界遺産登録推進協議会会長である養老孟司・東京大学名誉教授の講演会「生きているまちの世界遺産」が開催されました。申し込み受付開始後数日で定員に達し、 関係者は市民の関心の高さに勇気付けられました。 当日は講演に先立ち、石渡徳一・鎌倉市長が挨拶に立ちました。世界遺産暫定登録から16 年の経過を語り、市民の理解と協力により世界遺産登録が実現する、と訴え、世界遺産登録をめざす活動を新たなまちづくりとして伝えていきたいと抱負を語られました。 養老先生は、ソフトでユーモアあふれる独特の語り口で講演を始められました。
 「世界遺産というのは、ある意味でブランド、レッテルと言ってもいい。しかしレッテルが付こうが付くまいが、中身は変わらない」すなわち価値は普遍であることを示唆し、人々が暮らしている、生きているまちを「遺産」とすることの意味を問いかけました。
 「世界遺産を実態と考えるか、ブランドと考えるか、どちらにしてもそれを上手に使っていくことが上手な生き方」であるとし、すでに世界遺産登録されている京都の市民が伝統をどのように市民自らの手で、気負いなく守ってきたかについて、 先生が館長を引き受けている『国際マンガミュージアム』の建物の例を引いてお話しされました。そこから、「市民とは、自分たちの力で自分たちのいるところを維持している人々」と定義され、今の人々があまりに行政に頼りすぎていることに言及されました。
 先生は幼い頃の鎌倉について、「前田侯爵別邸(現・鎌倉文学館)、旧華頂宮邸、そのほかにも別荘として建てられた洋館の多いモダンなまち」であった思い出を話され、「昔の建物はできてから段々と風情が出て住みよくなってくる。 しかし今の建築は出来立てが一番良くて段々ダメになる。つまり現代の人は『時間』というものを考えない」「しかし、古都の良さは嫌でも『時間』を感じること」と述べられました。
 ここで「時間には、過去と未来しかない。 予定に書いてあるものはすでに現在決まっているのだから未来ではない。本当の未来は予定がない」として、「子どもの持っている未来はそれ」であるのに、「親は子どもたちの未来を、現在と過去から決めてしまおうとする」と警鐘を鳴らされました。
  また20 世紀の戦争が石油文明維持のため起こったことを批判し、「石油がなくても古代から文明を作ってきた。石油文明は楽だが人間を壊す方向に行っている」と、歴史から学ぶ姿勢の大切さを語られました。  そして「現在だけが中心の世界にいると、古都の歴史は嘘に聞こえる、しかし嘘ではない」として、一例として鎌倉では千体を越す人骨が発掘され、その時代と場所の特定ができるなどの事実から、過去の歴史が今につながっている認識を語られました。
 「実生活の中に歴史を活かしていくのは住む人々の意思。その意思が『市民』を生む」、 即ち「世界遺産にするということは、皆さんが自分の住んでいる土地にどれくらい責任を持つかという話」として、世界遺産登録によって、 鎌倉に住んでいる人に課せられる『世界遺産を守っていく』という責任に触れられました。そのうえで「長い目で見ると、それを自分に課してやっていくことは必要。何もしなければ楽」と語り「まちは大変な方を取るか、楽な方を取るか、大変な方を取る方がいい」として、 鎌倉のまちづくりの中に、過去であり歴史であり時間である「古都」を生かしていく意義を強調されました。
 最後に、登録推進協議会会長として、「今後とも世界遺産登録への理解をよろしくお願いいたします」と締めくくられ、会場は大きな拍手で沸きました。

 

めざせ!世界遺産登録

古都鎌倉の歴史遺産を紹介   鎌倉エフエム放送 82.8MHz

地域密着型FM ステーション 鎌倉FM も、地元の世界遺産登録を応援しています。 「ノトハラヒデミの世界を歩こう」「シーサイドカフェ828」では、毎回多彩なゲストを迎えて、世界遺産登録に向けての新着情報を分かりやすくお届けしています。 パーソナリティーの能登原秀実さんは大学で歴史を専攻していました。「鎌倉を世界遺産に登録したいけど、一人では何もできない・・・と思っていました。でも推進協議会が設立され、そんな一人一人の力を合わせる場ができました。 今こそ私たちの夢を叶える時ですね。『いざ鎌倉』の精神で集結して、私たちの手で世界に誇る素晴しい歴史遺産を後世に残していきましょう。」 鎌倉を愛するスタッフが集まり、世界遺産登録をバックアップしています。
◎放送時間:歴史や音楽の情報番組「シーサイドカフェ828」  ( 月曜〜金曜17:00 〜 19:00) /世界遺産を旅する番組「ノトハラヒデミの世界を歩こう」 ( 火曜 21:30 〜 22:00)
 

三都の世界遺産登録をめざす   古都フォーラム

「<古都フォーラム>は、世界遺産条約を批准してください!と国に訴えるところから出発した、奈良・京都・鎌倉の三都市民共同フォーラムです。1990 年第1 回の集会を京都で開催して以来、昨年の12 月、江の島で開催した鎌倉集会で10 回目を迎えました。」と語る古都フォーラム鎌倉事務局の卯月文さんに、第10 回鎌倉集会について伺いました。
 「今回は、世界遺産登録に向けてのまちづくりが中心課題として取り上げられ、先輩格の奈良や京都の市民と交流し知恵を共有して、歴史都市として風格あるまちの保全・再生・創造をめざしましょうと確認しあったことは、 今後の活動の大きな力となりました。『知ることは学ぶこと』と実感しています。」 恒常的な活動としては『集い、学びあい、語り合い』を実践する広場として、毎月歴史探訪を行っているとのことで、150 回を数えています。 「ご参加の皆さんにはリピーターの方が多いです。皆さんのご参加をお待ちしています!」
※歴史探訪の詳細は事務局まで Tel 0467-31-0150 

 

「古都鎌倉の世界遺産登録』ってなに?
第2 回 「武家」とは

鎌倉の世界遺産登録のコンセプトは「武家の古都・鎌倉」です。なぜ「武士」や「侍」の古都ではなく、「武家」なのでしょうか。
侍の語源は貴族の傍に控えていた人を指す「侍う(さぶらう)」であるといわれ、貴族の周囲に控える武士以外の人々も含まれていました。 しかし、平安時代の末ごろには、国家の軍事組織に組み込まれ、貴人や宮廷等の警備を担当する人々を指すようになりました。次に武士ですが、鎌倉時代の史料には、主に幕府の官僚や学者とその子孫を指して「武士の家系ではない」といった表現がみられます。 これは、当時の武士とは、平安時代に起こった平将門などの兵乱の鎮圧に活躍した者の子孫のみを指していたからです。警備などを担当したのは、主にこのような人々であったことから、後に侍と武士が同義の言葉とされるようになったのです。
武士達は平氏政権を倒して政権を獲得し、公家・寺家と並ぶ武家という新しい階層へと発展していきました。鎌倉は、東国の武士達が新しい時代を築き、公家・寺家と並ぶ階層「武家」へと発展した武家政権由緒の地として、室町・江戸幕府にも大切にされたことから、武家の古都と呼ばれるのです。

 

News! the 世界遺産

◎鎌倉世界遺産登録推進協議会の活動予定◎
平成19 年度に推進協議会が行う事業について多くの提案がなされ、協議してきましたが、その結果、下表のような事業が計画されています。これらの活動を通して、 鎌倉の世界遺産登録について市民の皆さんと情報を共有していきたいと思います。 市民の手で進める登録推進活動に、ご理解とご協力をお願いいたします。
イベント事業
・コンクール(写真、美術デザイン、ロゴ等)
・市民フォーラム等の講演会
・「(仮称)武家の古都・鎌倉塾」
広報活動事業
・会報『武家の古都・鎌倉ニュース』の発行(年4回)
・『武家の古都・鎌倉MAP』の改訂、増刷
・掲示物の作成等(江ノ電車両への中吊り広告、車両用ステッカー等)
・ホームページの開設、活用

「武家の古都・鎌倉MAP」を発行
世界遺産登録に関連する国指定史跡がひとめで判ります!
登録推進協議会では「武家の古都・鎌倉MAP」を制作しました。マップ裏面には、古都鎌倉の世界遺産登録についての解説と国指定史跡の説明を掲載しています。市役所、鎌倉生涯学習センター、鎌倉国宝館、鎌倉文学館に置いてありますので、携帯してご愛用ください!
◎「武家の古都・鎌倉MAP」をイベントなどで配布したいとご希望の方は事務局までご連絡ください。

「第1回世界遺産フォーラムin 高野山」に参加
世界遺産への登録を活かしてまちづくりを考えようという「第1回世界遺産フォーラムin 高野山−持続可能な美しい地域づくり−」が1月末、和歌山県・高野山大学で開催されました。すでに世界遺産に指定されている地区や今後登録をめざす地区などから代表が参加し、保存や実践活動などについて報告しました。
鎌倉からは、市民代表の卯月文さんと、市世界遺産登録推進担当の玉林美男さんが参加。玉林さんは「法例を駆使して景観を可能な限り広範囲にコントロールし、古都の風格のあるまちづくりをめざしている」と現状報告を行ないました。 交流会では「次は鎌倉で開催しましょう。」と参加者からエールを送られました。

ご参加ください!市民のボランティア募集
<若宮大路グリーン・クリーン運動>
古都鎌倉の世界遺産登録をめざす国史跡のひとつである「若宮大路」中央部分のグリーン・クリーン運動を、市民のボランティアが集まって行います。大人も子供も皆さんで、ぜひご参加ください。
後援/鎌倉市 他
日時/ 2007 年6 月3 日(日)午前10 時から1 時間
集合場所/鎌倉生涯学習センター前(JR 鎌倉駅そば)  9 時50 分までにご参集ください。
お問い合わせ/若宮大路グリーンクリーン運動   事務局 0467-23-2530(NPO かまくら緑の会)

総会と、早乙女貢さんの記念講演会を開催します
鎌倉世界遺産登録推進協議会の平成19 年度総会が開催されます。第一部で総会を行い、第二部で、推進協議会理事で鎌倉ペンクラブ会長の作家・早乙女貢さんによる記念講演があります。どうぞお誘い合わせのうえご参加ください。
日時/ 2007 年5 月24 日(木) 午前10 時30 分〜 12 時
会場/鎌倉商工会議所 地下ホール
お問い合わせは事務局 TEL. 0467-61-3848 まで。


 

Event! the 世界遺産

鎌倉ユネスコ協会公開講座    世界文化遺産の考え方

東京大学大学院工学系研究科教授の西村幸夫先生は、世界遺産登録についてのユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス) の中心メンバーとして、国際的にも活躍しておられます。今回は、西村先生に世界文化遺産の理念についてお話しいただきます。
西村幸夫先生プロフィール/町並み・景観問題の権威。イコモス(国際記念物遺跡会議) 前副会長、日本イコモス副委員長、文化審議会専門委員、文化審議会世界遺産特別委員会委員、国土審議会特別委員
とき 平成19 年5月19 日(土) 午後3時〜4時30 分   ところ 鎌倉芸術館 集会室   参加費/無料  
主催/ 鎌倉ユネスコ協会   後援/ 鎌倉市 鎌倉市教育委員会 鎌倉世界遺産登録推進協議会
申込受付/5月1日(火)から  ※定員(80 名程度)に達し次第先着順にて締め切ります。
申込先/ご希望の方は、住所・氏名、Tel、Fax 番号を明記して、下記までご連絡ください。
Eメールの方はメールアドレスもお願いします。  丸山 泰世 ハガキ:〒247-0053 鎌倉市今泉台5 − 9 − 10   
  ファクス:0467-43-3666  E-mail: fwkt7234@mb.infoweb.ne.jp

老人クラブ連合会 教養センター夏期講座
「武家の古都・鎌倉」世界遺産登録をめざして

老人クラブ連合会の夏期講座のひととき、世界遺産についてのレクチャーを聴きながら、世界遺産登録への夢を紡ぎませんか? 60 歳以上の方にご参加いただけます。
とき 平成19 年7 月4 日(水) 午前9 時30 分〜 11 時30 分   ところ レイウェル鎌倉4 階ホール  
講師/ 鎌倉市世界遺産登録推進担当 玉林美男さん  参加費/無料  参加資格/ 60 歳以上の方  
主催/ 社会福祉協議会 老人クラブ連合会       後援/ 鎌倉市 鎌倉市教育委員会 
申込先/ 教養センター TEL. 0467-32-1221 へ、住所・氏名・お電話番号をご連絡のうえお申し込みください。

Watch! the 世界遺産

県立鎌倉高校は、自主講座『いざ鎌倉』で「鎌倉ユネスコユース賞」の最優秀賞を受賞しました。同高校ではボランティア活動のほか市や推進協議会による講義など、鎌倉の世界遺産登録への協力や勉強を積極的に行っています。 今年度からはもっと多くの生徒が参加して幅広い活動ができるように総合学習や委員会活動として実施する予定です。

「高校入試の後の時間をもっと実りあることに使えないか」という元校長先生の発案がきっかけで、8 年ほど前から市内の中学校では、卒業前に近隣の緑や環境を守るボランティア活動をしています。第一中学校では、国史跡「和賀江嶋」の砂浜の清掃をしており、今年も鎌倉風致保存会の指導のもと、約60 名の生徒たちが力を合わせて浜辺をきれいにしました。「文化遺産を単に残すというだけではなく郷土愛の気持ちを残すことが大切」と引率の先生は述べておられました。

編集後記  

第3号は、まず推進協議会(以後略称として使用)の本格的な事業として養老孟司会長の講演会の様子を紹介しました。ニュースとしては、推進協議会の年間計画について紹介しましたが、多彩なイベントや広報活動が計画され、いよいよ活動が本格化します。 「武家の古都・鎌倉MAP」が発行され、鎌倉の登録をめざしている国指定史跡がわかるようになりました。まだ変更もあり、改良していく予定ですが、活用していただきたいものです。推進協議会構成団体には、世界遺産登録へ向けての活動や計画についてアンケートをお願いしています。 これからも皆様の活動状況を柱にして編集していく方針ですので、ご協力をお願いします。<内海恒雄>

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