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Q1 鎌倉は、どうして世界遺産登録を目指すことになったの?
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A 鎌倉が世界遺産登録を目指すきっかけは、平成4年に、日本国(文化庁)が、今後登録推薦していく物件を示す「暫定リスト」の中に「古都奈良の文化財」や「古都京都の文化財」などとともに、「古都鎌倉の社寺ほか」を記載し、ユネスコに提出したことによります。
鎌倉は貴重な歴史的遺産を、末永く、確実に保全していくことを重要な取り組みと位置づけ、世界遺産登録は、そのためにもっとも効果的なものと考えられることから、平成8年に策定された鎌倉市の総合計画(第3次総合計画第1期基本計画)の中に、登録を目指していくことを位置付け、以後準備を進めてきました。
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Q2 世界遺産登録の目的は何?
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A
ユネスコ世界遺産リストに登録されることは、世界各国の貴重な文化財や自然環境を、人類共通の財産として、
未来に向け守り続けることを示すものです。
登録によって、その価値が広く世界へ発信され、日本への国際的理解を深めてもらうことにも、大きな役割を果たすことが期待されます。
鎌倉は、貴重な歴史的遺産を、末永く、確実に保全していくことを重要な取り組みと位置づけ、早期の世界遺産登録を目指してきました。
さらに、「世界遺産のあるまち鎌倉」となることが、今後のまちづくりの大きな指針となることも、登録の大きな意義と考えています。
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Q3 世界遺産登録が文化財保護やまちづくりに果たす役割とは具体的にどのようなものですか。
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A
世界遺産に登録されることは、鎌倉が世界の中で貴重な価値をもった「歴史的遺産」として認められることです。この貴重な歴史的遺産の保全に向けては、行政を含め、市民一人ひとりが鎌倉の歴史や文化財に対して、「敬意」と「誇り」と「責任感」を一層自覚することが、歴史的遺産を継承する本当の力、原動力になっていくものと考えます。
なお、世界遺産登録ということは、日本国が世界に対して歴史的遺産の保全を約束するものですので、こうした遺産の保全に向けた取り組みについては、これまで以上に国の支援を受けて文化財保護の充実が図れるものと期待します。
さらに、「世界遺産のあるまち」となることにより、住んでよく、訪れてよい鎌倉のまちづくりを進める一助として、遺産の保全や景観の改善などへの市民の関心をさらに高め、今後のまちづくりに生かす指針として大きな役割を果たしていくものと考えます。
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Q4 世界遺産登録にあまり興味が持てない。市民にとってどんな意義があるのですか?
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A
鎌倉は、市民の手により歴史的風土が守られてきたまちです。
「古都保存法」は、昭和41年に鎌倉の市民運動の中から生まれました。昭和48年には、世界との友好や文化都市としての発展を願って、「鎌倉市民憲章」が制定されています。
世界遺産登録は、古都保存法や鎌倉市民憲章で示されている、鎌倉の貴重な歴史的遺産の保存を確実に行っていくための大きな力となるものです。
歴史的遺産を生かし、世界遺産のあるまちづくりを進めることは、市民全体にとって、今後のまちづくりに向けた、一つの大きな指針になるものといえます。
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Q5 鎌倉には、世界遺産としてどのような価値があるの?
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A
【武家政権・武家文化発祥の地】
鎌倉は、源頼朝をリーダーとする武家が、初めて自らの政権を樹立し、それまでの貴族支配に替わる武家の支配を築いた場所です。
また、武家は、中国伝来の禅宗を取り入れるなど東アジア世界における活発な交流の影響により、独自の文化を築きました。
武家政権発祥の地として、さらに現在の日本文化に大きな影響を及ぼした武家文化が生みだされた場所として鎌倉は重要な価値があります。
【自然地形を生かし、機能的に整備された政権所在地】
鎌倉で政権を樹立した武家は、「三方を山に囲まれ、一方が海に開く」要害の地である鎌倉の特徴的な自然地形を生かして、独自のまちづくりを行いました。当時の土木技術を駆使して山稜部や谷間を切り拓き、社寺、武家館、交通路などを、防御・行政・物流の拠点として機能的に配置したのです。
その結果、山稜部と一体となった固有の社寺景観をもつ独特な政権所在地が形成された点で貴重です。
このように鎌倉は、山稜部などの自然地形とそこに点在する社寺や史跡が一体となって、世界遺産としての価値を示しています。
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Q6 世界遺産になるために、鎌倉のどんなところをアピールするの?
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A
「武家の古都・鎌倉」の世界遺産としての価値は、次の2点にまとめられています。
- 日本国全体を武家が支配する出発点となった場所であり、新しい社会の仕組みと文化要素を含む武家文化が創出されたことを示す証拠であること。
- 武家が、「三方を山に囲まれ、一方が海に開く」特徴的な自然地形に積極的に働きかけ、機能的に整備した稀にみる政権所在地であること。
この2点が、世界遺産登録にあたって定められている「評価基準」(B・C) に該当するものであり、世界に向けてアピールする価値です。
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Q7 「武家の古都」とは、そもそもどのようなもの?
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A
鎌倉は、京都や奈良と並んで日本を代表する古都であり、多くの神社や寺院が今に継承されています。
しかし、京都・奈良と大きく異なるのが、京都や奈良が貴族によって造られた政権所在都市であるのに対し、鎌倉は日本で初めて武家によって造られた政権所在地であるという点です。
鎌倉は、その後に続く武家政権によって「武家政権発祥の地=武家の古都」として大切にされました。「武家の古都」を英語では「Home of the Samurai」と表記していますが、この「武家の古都(ふるさと)」という性格は、鎌倉唯一のものです。
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Q8 鎌倉では、武家ではなく、禅宗を基本にした価値を主張してはどうですか。
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A
鎌倉の武家政権は、神道とともに中国伝来の禅宗を政権の中心に位置づけたことから、最初の禅宗道場である建長寺を始めとする禅宗寺院が創建され、禅が日本に広がる拠点となりました。
しかし、この点だけではなく、禅が広まる中で、現在の日本文化へもつながる武家文化の発祥の地となったことや、世界でも例を見ない、山稜部と一体となった社寺景観や若宮大路を中心とする都市構造をもった日本初の政権所在地であることを主張することが「武家の古都・鎌倉」の性格をよく表すものと考えます。
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Q9 「武家」を世界の人たちにどうやって説明するの?
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A
世界遺産登録に向けてユネスコ世界遺産センターに提出された推薦書では、「武家」(英語では samurai と表記しています)を戦士階級と位置付け、ヨーロッパの騎士やイスラム社会のマムルークなど海外の戦士階級と比較した説明を行っています。
この中で、鎌倉で初めて自らの政権を成立させた武家は、次のような特徴をもつものとしています。
- 家系及び血統を基礎とする世襲的階級であったこと
- 神道及び仏教を信仰対象とするのみならず、権力や支配の強化に活用したこと
- 特に禅宗の影響を強く受け、自ら創出した武家文化の精神的基盤としたこと
- 文化的レベルが高く、戦士階級の特質を保持しながら、長期間にわたって政権を担当し続けたこと
以上のようなことが、世界の他の戦士階級にはない際だった特徴として強調されています。
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Q10 日本の歴史の中で、「武家の古都・鎌倉」はどんな役割を果たしたの?
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A
源頼朝をリーダーとする武家が、鎌倉に日本で初めての武家政権を樹立したことにより、それまでの貴族による支配から武家の支配する世の中となりました。
この武家による支配は、その後およそ700年も続き、その間、今日の日本に深く根付いている禅や茶をはじめとする多くの文化的伝統や思想・精神が醸成されました。
「武家の古都・鎌倉」はまさにその契機となった場であることから、日本史上で他にはない重要な位置を占めています。
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Q11 鎌倉のどこが世界遺産になるのですか?
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A
「武家の古都・鎌倉」は、次の (A) (B) により構成されています。
(A) 要害的地形を示す自然地形(山稜部)...古都保存法で守られている歴史的風土特別保存地区
(B) 社寺や切通など、11件の社寺と10件の考古学的遺跡からなる重要な要素...文化財保護法による国指定史跡
構成資産範囲図 (外部サイトへリンク) からもわかるように、要害的な自然地形に「重要な要素」が含まれて分布し、一体となっています。
「武家の古都・鎌倉」の資産の範囲は、横浜市、逗子市に含まれる部分を含め、全体で577.2ヘクタールに及びます。
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Q12 「武家の古都・鎌倉」資産はいくつなの?
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A
「武家の古都・鎌倉」は、全体で一つの資産で、要害的地形を示す自然地形(山稜部)と社寺や切通などの考古学的遺跡(重要な要素)から成り立っているものです。
ただ、近代以降の開発により、連続していないところがあることから、10か所の部分(パーツ)に分かれています。
「武家の古都・鎌倉」の資産内にある、社寺や切通など21の史跡は、資産を構成する「重要な要素」として位置付けています。
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Q13 「重要な要素」とは何ですか?具体的には何を指しているのですか?
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A
「武家の古都・鎌倉」という考え方を特によく現す、21の歴史的遺産を指します。
鶴岡八幡宮など、11の神社・寺院と、永福寺跡など10の寺院跡・武家館跡・切通・港跡が含まれています。
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Q14 「緩衝地帯(バッファゾーン)」って何のこと?鎌倉のどこのことですか?
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A
緩衝地帯(バッファゾーン)とは、世界遺産に登録される資産の景観や環境を保全するために資産の周囲に設定される区域のことです。
緩衝地帯自体は世界遺産として登録される区域ではありませんが、資産の環境や状況に応じて、適切に確保することが求められています。
武家の古都・鎌倉の緩衝地帯は、具体的には 構成資産範囲図 (外部サイトへリンク) のように、全体的には資産となった山稜部の稜線を超えるような建物等が建つことがないような考え方に基づいて、資産を取り巻くように設定しています。
また、各重要な要素の周辺については、それぞれの環境等の状況に応じて建築物の高さ制限を含む法令等により設定されています。例えば若宮大路の周辺や市街地も含まれています。
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Q15 「緩衝地帯(バッファゾーン)」の中ではどんな規制がかかるの?
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A
「武家の古都・鎌倉」で設定された緩衝地帯(バッファゾーン)内は、主に風致地区条例による風致地区、景観法による景観地区などに基づく建物の高さや意匠、宅地の造成、木竹の伐採などに関する規制により、資産の環境や景観の保全が図られています。
鎌倉では、これまで適用されてきたこれらの制度が、世界遺産登録で求められる緩衝地帯の水準を満たすものであることから、登録によって、新たな法規制が行われることはありません。
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Q16 鎌倉と富士山は同時に登録されるの?
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A
世界文化遺産登録に向けた推薦は、今回までは、1国で2件まで行うことが可能になっていることから、鎌倉と富士山とが日本国から同時に推薦されました。
「武家の古都・鎌倉」と「富士山」は、それぞれ別個の顕著で普遍的な価値をもった候補地として、平成25年6月の世界遺産委員会において同時に審査される予定です。
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Q17 登録に向けて今まで誰がどんな準備をしてきたの?
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A
鎌倉の世界遺産登録への取り組みは、最終的には日本国の事務として行われます。国は平成4年に 「古都・鎌倉の寺院・神社ほか」としてユネスコの世界文化遺産暫定リストへ記載しました。この暫定リストとは国が登録推薦を行っていく予定のものを示しています。
登録をするには、その価値の明確化や資産の保全を進めていく必要があり、地元市である鎌倉市が学術調査や学識者による検討を進めるとともに、史跡の国指定や保存管理計画の策定といった準備を進めてきました。
また、「武家の古都・鎌倉」は、横浜市・鎌倉市・逗子市にまたがることから、神奈川県を含めた4県市の推進委員会で「世界遺産登録推進委員会」を設置して、協働した取り組みを進めることとし、具体的には、この4県市でユネスコへの推薦書の作成準備を進め、国際専門家会議などを開催して、その熟度を高めてきました。
こうして、国、鎌倉市、4県市がそれぞれ必要な役割を果たして準備を進め、推薦に至ったものです。
さらには、こうした取り組みについて市として周知・啓発を進めるため、市民団体、社寺、商工団体、行政等、90を超える団体が参加して 「鎌倉世界遺産登録推進協議会」が設立され、「武家の古都鎌倉ニュース」発行などの広報活動、講演会、武家の古都・鎌倉塾やワークショップなどさまざまな啓発や市民意見の聴取などを行ってまいりました。
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Q18 登録の準備として、今までどのくらい予算を使ってきたの?
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A
登録の準備は、国、地元の鎌倉市、4県市がそれぞれ取り組んできましたが、市としては、主に次のような内容で進めています。
【平成8年度〜23年度(16年間)の合計】
- 史跡指定、保存管理のための学術調査経費 約1億 900万円
- 史跡保存管理計画の策定経費 約1億6,500万円
- ユネスコへの推薦書作成等の経費 約1億5,800万円
(国際専門家会議の開催や推薦書の作成など)
- 市民への啓発・情報提供経費、事務費など 約5,500万円
(鎌倉世界遺産登録推進協議会への活動費やパンフレットの発行など)
これらの経費は、平成8年に市が登録の取り組みを総合計画に位置付けてから平成23年度までの決裁数値で示しており、合わせて約4億8,700万円となります。
このうち、上記1と2の史跡管理に係る約2億7,400万円については、直接世界遺産の取り組みではありませんが、世界遺産登録の準備を進めることを契機に集中して行われたもので、市の文化財保護行政の推進において、基礎的な要件の充実を図ることに大きく貢献するものです。
従って、上記3、4の約2億1,300万円が世界遺産登録に直接係る経費といえます。
なお、総額約4億8,700万円のうち、約1億7,900万円は国や県から補助を受けたものです。
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Q19 世界遺産になることで、規制が増えるのではないですか?
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A
今回の登録によって、新たな規制が導入されることはありません。
候補資産は、すでに文化財保護法による国指定史跡や古都保存法の歴史的風土特別保存地区に指定された範囲にあるため、この制度を引き続き活用します。
なお、重要な要素である社寺や考古学的遺跡については、それぞれ史跡の保存管理計画が策定されており、これらにより資産の適切な保護が図られます。
また、候補資産の景観や環境等を守るため、資産の周囲には、緩衝地帯(バッファゾーン)を設定していますが、この範囲についても、風致地区条例、景観法、古都保存法、都市計画法、森林法及び首都圏近郊緑地保全法など、すでに導入されている制度を活用していきます。
「武家の古都・鎌倉」の緩衝地帯(バッファゾーン)には、人々が生活を営む市街地も含まれていますが、住宅の建て替えなどについても、登録後も、もちろんこれまで適用されている法令等に基づいて行われるものです。
「武家の古都・鎌倉」の資産や緩衝地帯(バッファゾーン)に適用されている法令等の内容は、これまでの日本の登録遺産の状況をみても、世界遺産登録で求められる要件を満たすものと考えています。
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Q20 世界遺産に登録されると、観光客が増えるの?
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A
国内の他の登録事例を見ると、鎌倉のようにすでに観光地として定着していた所では、登録によって観光客数が激増した例は、ほとんど見あたりません。
しかし、海外からの観光客の増加は想定されますし、もともと鎌倉は観光都市として、さまざまな面で課題を抱えています。「世界遺産のあるまち鎌倉」にふさわしい姿を目指して、これらの諸課題について検討していきます。
【追加の質問】 本当に増えないんですか。
A
専門家の調査結果などを見ると、登録以前から鎌倉と同様に観光が盛んであった京都市、奈良市、日光市を見ると、いずれも登録直後は増加していますが、その後また再びもとの数字に戻っていますので、鎌倉についても同様の傾向になるものと予想しています。
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Q21 ゴミのポイ捨てなどマナーの悪い観光客は、何とかならないの?
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A
観光客には、ゴミを持ち帰ることを啓発のポイントとしており、これからも持ち帰りを中心に啓発活動を続けていきま
す。
また、まちの美化としては、春と秋に市内で一斉清掃を行う「クリーンアップかまくら」を行っています。
さらに、地域の皆さんや事業者の皆さんが自主的に道路や公園、海岸など公共の場所で定期的な清掃活動を行うアダプ
トプログラムなども行っており、多くの市民の力によって、若宮大路や小町通りなどではクリーン活動が定着していま
す。
こうした活動を進め、美化に取り組む市民の姿や清潔で美しい鎌倉が観光客の目に触れることにより、
マナー向上に期待していきたいと考えています。
観光商工課のホームページに「鎌倉での過ごし方」という項を設け、神社仏閣や街中の歩き方などの注意事項等を掲載するとともに、
観光商工課の窓口でも周知を図っております。更に小中学生向けに編集している「かまくら課外授業ガ
イド」でもマナーページを設け、啓発を行っています。
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Q22 外国人観光客のための案内所や表示は増えますか。
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A
世界遺産に登録されることにより、海外からの訪問者にも「武家の古都・鎌倉」の価値を理解いただくため、案内所や
表示の充実は重要であると考えます。
しかし、案内所の拡大や、新たに設置することは難しい状況です。
案内表示については、現在、「重要な要素」等の史跡に4か国語(日・英・中・韓)の説明板が設置されています。
また、観光ルート板については全ての多言語化を完了し、観光案内板は多言語化を進めています。
引き続き「世界遺産のあるまち鎌倉」として、サインの充実や史跡の案内表示の整備を進めていきたいと考えています。
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Q23 渋滞をなくしていくために、「ロードプライシング」とか「パーク&ライド」という方法があるらしい。これって、どんなもの?
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A
ロードプライシングは、道路が非常に混雑している地域において、課金によって自動車交通量をコントロールすることで、道路をスムーズに走行できるようにする方策であり、交通問題を解決する一つの施策です。
しかし、一方で施策の実施に向けては、広範囲な市民の合意形成や法令等の整備、課金方法、実施に伴う費用、近隣市との調整など様々な課題もあります。
パーク&ライドは、中心市街地周辺の駐車場に自動車を停め、バス、電車等の公共交通機関で鎌倉の中心部に乗り入れる方策で、市では平成13年度から国道134号沿線の4か所の駐車場を利用して実施しており、年々利用者は増加しています。
しかし、より効果的な手立てについては、一つの施策だけではなく、さまざまな施策を複合的に行うよう、検討していきたいと考えています。
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Q24 登録されると、いま以上に渋滞がひどくなりませんか?何か対策を考えているの?
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A
鎌倉地域中心部とその周辺はJR、江ノ島電鉄及び路線バスが整備されており、徒歩による移動を組み合わせることで、市内の往来が可能となっています。市では、自動車利用から公共交通への転換策として「鎌倉フリー環境手形」や「パーク&ライド」などの施策を進めています。
また、本年5月に設置した市民、商工業者、交通事業者及び学識経験者などで構成する「鎌倉市交通計画検討委員会」において、交通渋滞の緩和に向けた施策について検討しています。
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Q25 狭い道にあふれるクルマを規制できませんか。
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A
生活道路へのクルマの流入に対しては、道路交通法による交通規制などを実施することもありますが、どのような方法にせよ周辺住民の方々の合意形成が必要となります。
また、鎌倉へのクルマの流入を全体として押さえていく取り組みも有効ですが、実施には市民の合意形成や法令等の整備、近隣市との調整など検討すべき課題があります。
いずれにしても交通の課題は鎌倉にとって重要ですので、可能なことから検討を進めていきます。
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Q26 観光で鎌倉を訪れる人たちから、道路補修の費用などを徴収できないの?
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A
鎌倉には年間約1,800万人を超える観光客が訪れます。これらの方々が気持ちよく観光できることには大きな意義があり、市はトイレの整備等、必要な施策を進めています。こうした取り組みについて、受益者である観光客に直接的な負担を求める声もありますが、多くの課題があります。
なお、例示された道路については、道路法において「一般の用に供する道」と定義され、道路の管理に関する費用は原則として道路管理者が負担することとされていますので、鎌倉を来訪された方々から、道路補修費用を徴収することは法律上難しいと考えます。
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Q27 鎌倉の景観を守る取り組みはどうなるの?
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A
鎌倉のうるおいある景観を守る取り組みの方針は、登録後も変わることはありません。
これまで市では、建物の外観、形態意匠などが、歴史的風土と調和した均整のとれたものとなるよう、平成20年3月に、景観法に基づく景観地区、約232ヘクタールを指定し、若宮大路周辺地区などにおいて、建築物の高さや色彩についての法的な規制を行ってきました。
また、屋外広告物については、県屋外広告物条例の規制に加え、景観計画に掲出方法や色彩などについての制限を定めています。
今後とも、市民の協力のもと、豊かな自然環境や歴史的遺産がとけあった、独特の風格のあるまちなみを守っていきたいと考えています。
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Q28 世界遺産になると、山林の手入れができなくなるというのは本当ですか。
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A
「武家の古都・鎌倉」の構成資産には山稜部が多く含まれており、その樹林を適切に管理していくことが課題となっています。具体的には、危険木の伐採や倒木の処理などが必要となりますが、これは考古学的遺跡や史跡の保護にも有用です。
こうしたことから、山林の手入れに規制が入ることはありません。むしろ積極的な管理をしていくことが必要と考えられます。
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Q29 世界遺産になることで、鎌倉の文化財保護の取り組みはどうなるの?
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A
市では、世界遺産登録推薦の準備を進める中で、発掘調査結果に基づく国指定史跡の拡大や、建築物の重要文化財の指定、保存管理計画の策定などの取り組みを進めてきました。
この結果、約40ヘクタールを超える範囲について、新たに史跡として保存を図ることができたほか、社寺や切通などの史跡の保存管理計画がまとめられたことにより、資産の適切な保護が図られるようになっています。
また、鎌倉の貴重な歴史遺産を紹介するための世界遺産ガイダンス施設や博物館の建設など、登録を契機に、さらに文化財保護、活用の充実に向けた取り組みを進めます。
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Q30 子どもへの世界遺産教育を小学校でやったらどうでしょうか?
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A
世界遺産の登録は歴史的遺産を末永く伝えていくことが本来の目的です。これを担っていく子どもたちが、鎌倉の世界遺産の価値や資産の内容について理解を深め、文化財を大切にする心を養うことは大変重要です。
各学校では世界遺産に関する内容を含め鎌倉について、副教材や資料を用いたり、現地調査を行ったりして学習を進めています。これからも内容の充実を図っていきたいと思います。
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Q31 世界遺産登録に向けた活動に市民はどう関わってきたの?
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A
世界遺産登録を市民と行政等が一体となって進めようということから、平成18年に、市民活動団体、商工関連団体、社寺、行政機関等により「鎌倉世界遺産登録推進協議会」が組織されました。
推進協議会では、これまで、「武家の古都・鎌倉ニュース」や「世界文化遺産マップ」の発行、講演会やシンポジウムの開催、鎌倉の歴史的遺産を学ぶ「鎌倉塾」の実施、みんなで世界遺産登録について語り合う「ワークショップ」の開催など広報啓発活動を中心とした幅広い活動を行っています。
また、現在は、登録された後に「世界遺産のあるまち」であることを生かし住みやすい魅力的なまちづくりを進めることを目指して「みんなでつくる世界遺産のまち鎌倉」をキャッチフレーズにした活動を進めていく予定です。
登録後も、「武家の古都・鎌倉」の資産の保全や、世界遺産のPR活動などについて、市民が主体となって展開することが望まれます。
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Q32 市民として、これからどんな協力ができるの?
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A
世界遺産登録は、資産を確実に保全し、未来へ継承していくことを世界に約束することです。
「武家の古都・鎌倉」は、山稜部を含む非常に広い範囲が世界遺産として登録される予定ですが、この広い範囲の資産を守っていくためには、何よりも身近な市民の方々の理解と協力が不可欠です。
特に、歴史的遺産の保全に関する活動については、現在も公益財団法人鎌倉風致保存会を始め、いろいろな団体や地域において取り組みが進められていますが、登録を契機に、さらに拡大し、活発に行われていくことが期待されるものです。
身近な歴史的遺産の保全活動などへ是非積極的に参加してみませんか。
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