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第4回「鎌倉の世界遺産登録へのまなざし」(平成22年)
目次 と 報告1頁

第4回ワークショップ  目次
報告書 表紙     1頁
巻頭言 まなざしの先にある「鎌倉の真の価値」  総括進行役 福澤 健次 1頁
テーブルA 報告 テーブル進行役 田川 陽子  1頁
テーブルB 報告 テーブル進行役 山村みや子 1頁
テーブルC 報告  テーブル進行役 大竹 正芳 1頁
テーブルD 報告  テーブル進行役 横川 啓 1頁
テーブルE 報告 テーブル進行役 高木規矩郎 1頁
意見等張り込みシートの整理     2頁
顕著で個別的なまなざし コメンテーター 宮田 一雄 2頁
大佛vs観音世界遺産談義 コメンテ―ター 伊達 美徳 2頁
鎌倉の価値をつくるのは誰か コメンテーター 赤川 学 2頁
世界遺産登録の現状と鎌倉市都市マスタープラン     2頁
鎌倉の丘陵部・世界文化遺産候補地 写真      2頁
ワークショップ参加者名簿等     2頁
 
目のデザイン
 



鎌倉の世界遺産登録への
まなざし
第4回ワークショップ実施報告書
2010年10月31日(日)
鎌倉市立御成小学校体育館
主催 鎌倉世界遺産登録推進協議会
共催 鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会






 
巻頭言  まなざしの先にある「鎌倉の真の価値」  総括進行役 福澤健次
ワークショップ(以下、WSと記す)の口開けで、みなさんに語りかけたのは「鎌倉の真の価値は何か」を、そろそろ浮上させたいということだった。
世界遺産になるにはユネスコ側の諸条件をクリアーする必要があるのだが、その前に先ず我々が思う「鎌倉の真の価値」が掴めて、初めて「世界遺産にふさわしい所」だと周囲に呼びかけられるからだ。
横浜などの県下市民や東京都民などの積極的参加を図った今回の集りでは、外からのまなざしの助けも借り、鎌倉のイメージを客観的に掴める場面が多くあるだろう、と考えていた。
討議に入る前の参考に話したその他のことは、円覚寺舎利殿・建長寺仏殿などの移築建築にみられる、日本の木造建築の「仮設的な」性格や、鎌倉では今を生きる人々の傍らに、自然・文化資産が身近に在ること、などだった。
さてこの報告は報告書の冒頭を占めるので、後に続く報告全体の索引にもなるように書こうと思う。
三人のコメンテーターのコメントは、各テーブルの話合いを俯瞰して作られた見解なので参考になる

●「まなざし」に関して
このWSのタイトルにある「まなざし」については、伊達コメントがさまざまな面を扱い、述べている。
決定するユネスコ側のまなざし、市民のそしてアジア・世界からのまなざしがどう見ているか? それぞれのまなざしの間のギャップをどう埋め、普遍的価値の認識に至るか?
この辺に関しWSの中から「環境」と「平和」という二つの普遍的概念が出てきて、「武家文化の証拠」という普遍的価値を強化するものとなるだろう、という指摘があった。環境に関しては、鎌倉では周りにある緑の丘陵の存在がまさに環境保全を示し、丘陵は 鎌倉を武家の古都として囲む城砦の役割をしてきて、その中に多くの文化財が存在し、それを市民が守ってきた誇りがある。(以上伊達)
しかし、「顕著で普遍的な価値」を示せと言われる場合に、世界で唯一ということも示す必要がある。環境・平和への配慮を保ちつつも、数ある世界遺産の中の鎌倉の独自性を示すために、やはり武家の都で推薦を纏めることになるのだろうか?
「平和への願い」も、血みどろの抗争の続いた中の一服の清涼剤のようなもの、世界の人々へ鎌倉の武家を説明するのに、そこのみ特筆大書しても奇妙感を与えるであろう。またWarriorが即、悟り済ました文化人だった、のような言い方も上質の説明にはならないだろう。司馬遼太郎は鎌倉時代を、「それまでの日本史を、鉄の槌とたがねでたたき割ったような」と評したが、それは、鎌倉のサムライたちがWarriorゆえに機能的にものを考え、そこから前代までよりも合理的で偽善の少ない文化が生まれ、現実に冷静に向き合えるようになったことを指したのだと思う。
一方で、常に生命を懸けて戦う武士たちには、神 や仏への信心は強く多くの社寺が建立された。そしてまたそこに、知や不動心への探求が生れ、新たな美や文化が誕生してきた、ということであろう。
鎌倉は鎌倉時代以前から人々の営みがあった地、遺物じゃなくて資産だ。どうも歴史という過去のある時点の遺産に目が向いて、文化という現代に生きる資産からまなざしが逸れている。そこを市民は敏感に感じ、まちづくり手段としての世界遺産登録と割り切っている面がある。などと伊達氏は述べている。

●登録手続きとまちづくり
じつは今年夏の第三回国際会議で、世界遺産の登録範囲に古都保存法の歴史的風土特別保存地区の丘陵部を入れて、鎌倉の登録推薦を行うべきだという方向が出てきた。
これは朗報で、過去三回のWSにおいても鎌倉の市街を囲む丘陵と海の自然に、参加者の熱いまなざしが注がれてきた経緯がある。登録推薦事務を進める4県市・文化庁、外国専門家たちのまなざしと、市民のそれとが一致してきたのである。
宮田コメントは登録の先送りは残念だが、危機こそ希望、待機時間は熟成期間と考え、現在進む都市設計に豊かな歴史を生かす考えが浸透していくならばそれも貴重だと指摘する。
さらに、「中世の武家文化とともに明治以降の近代遺産に目を向ける必要」と、「鎌倉の町の21世紀的な現代性」の二点についても言及している。
Aテーブルでは「1つ1つがこぢんまり・・・、個性の集合体がスゴイ」、「訪れれば解る魅力−歩いて振り向けば山が」などが語られ、Bテーブルでは「景観の美は世界に通じる」という発言があった。
Cテーブルからは、鎌倉の低く囲む山、スケールの小ささは「ほっとする」、 「環境に文化が息づく」 、「暖かい静寂にひたれる」―外国人から見た鎌倉―などの評価が出された。
Dテーブルではまちの居心地のよさ、行事とNPOと鎌倉を知りたい人の多さ、などの観察があった。Eテーブルでも居心地よさやほっとする、などの発言があった。これらの長所は鎌倉のまちづくりの中で大切にしていかなければならない。
一方今・現在の、そして世界遺産になった場合の道路・交通問題を心配する声も多かった。狭く折れ曲がった道の多い歴史的な町で必ず出てくる問題であるが、これは主に交通需要を管理する諸手法=パーク&ライドやロードプライシングと、公共交通の利用で対処するのが世界的趨勢である。
商業者を含めた市民が、歴史都市保全への理解と現代生活信条とをうまく両立させ、問題を処理する鎌倉式流儀を編み出していく必要がある。
これまで続いてきた町を、これからの時代に合うサスティナブルシティとして育てていくことは、私たちに求められる課題である。

●鎌倉から発する 世界遺産の新しいタイプ
Eテーブルでは、パッとみてすごいと思うものが少ない、現状では無理で根本的に見直すべきだ、などの厳しい声があった。Bテーブルでは、「守るべき領域の再確認が必要だ」という声が出た。
たしかに、鎌倉の文化資産はそれほど豪華・壮大ではなく素朴で小ぶりなものも多く、鎌倉は世界遺産にはどうか?と感じる人は少なくない。
 しかし、「歩いて廻れる狭い範囲の中に近現代の街と豊かな文化遺産・自然が身近に共存していて、親しい関係を結んでいる。実際にその居心地よさは多数の人々を引きつけている。またこぢんまりしてい るが、個性の集合体がスゴイという声もあった。
 これまで世界遺産というと豪華・壮大などの印象が 強かったが、今ではより新しいタイプが求められている。それをこの鎌倉から提示していく、という気持 でいてよいのではないか。
 D.W.グリフィスの大作映画を喜んだ世界の人々も、やがて小津映画を評価するようになった。映画 界の推移はきわめて示唆に富む。
 ノミネートに含む方がよいとされた古都保存法特別保存地区の丘陵部は、歴史を経て残ってきたので、 これも遺跡である。そこには候補史跡のほとんどが含まれる。今までの候補史跡と特別保存地区を合わせた全体を一つの遺跡と考えれば、そこには鎌倉発祥のさまざまな日本文化の源流が見出せる。小ぶ りなものも多いが、まさに個性の集合体がスゴイのである。
「鎌倉を囲む弧状の緑豊かな一つの遺跡、そこに中世に始まり人々が受け継いできた文化遺産の集合がある。市民はそれを大事に守って行くのだ」※    そのような説明であれば、市民憲章や平和都市宣言を持ち、市民が環境を守り古都保存法発祥地となった鎌倉を、価値ある地と世界に差し出すことができるのではないか。
ここで根本的に見直すべきという声を真摯に受けとめ、これまでの推薦ロジックを見直し鎌倉ならではのノミネートを工夫していく必要があろう。
※[参照 都市マスタープラン等]
このページに続く各テーブル進行役による報告、コメンテーターの3氏によるコメントには、さまざまな視点からの意見を見出すことができる。多様な意見を味わい、読んでいただければ幸いである。

冒頭の説明をする福澤進行役
冒頭の説明をする福澤進行役 
 
テーブルA報告   テーブル進行役 田川陽子
1 当日の進行全般
Aテーブルの参加者は進行役、進行役補助を含め7名で、うち女性3名、男性4名、また鎌倉市民6名で、市外からの参加者1名でした。
今回のワークショップのテーマは『世界遺産への まなざし』ですが、この「まなざし」には世界からのまなざし、あるいは世界遺産登録を認定する『ユネスコ』のまなざし、「市民からのまなざし」などが想定されます。
さらに「市民のまなざし」には「鎌倉市民」と「他市の市民」のまなざしが想定されますが、Aテーブルの他市からの参加者は1名で、しかも鎌倉に隣接する地域からの参加者なので、特に「他市からのまなざし」に該当しないようにも思われました。
 議論は「市民のまなざし」を世界へどうアピールしていくかに終始したように思います。
2. 議論の内容
まず、自己紹介と鎌倉の良いと感じている点を挙げてもらうところから始めました。 色々な意見が出されましたが、次のように集約してみました。
(1) 市民が守り続けてきた豊かな自然
鎌倉の良さについて「歩いていて振り向けば山がある」という意見が出され、そこから、「山の稜線は古都保存法で守られている」、「そもそも古都法は鎌倉市民の緑を守る運動から制定されたもので、鎌倉はトラスト発祥の地である」、と議論が展開しました。
さらに、30年にわたる開発反対運動が実り、保全されることになった広町からの参加者は、広町では開発から守られたことをゴールとはせず、その後の保全活動が大事であること、また、先のCOP10 (生物多様性条約 第10回締約国会議)で、広町の里山での保全活動について発表がされたことを指摘、一同感服しました。
自然は放置すると荒れるのだから、生態系を守り、良い環境を作り出すには市民のボランティアは必須で、行政と市民が力を合わせ、自然との共生を目指し、次世代へとつなぐべきだという意見でした。
さらに広町のみならず、山崎の谷戸での田んぼの 復元や、収穫祭・青空保育など様々な市民活動が行われているので、このことをもっとアピールする、映画化もできるのでは、という意見、また青空保育には触れ合いを通じてこの環境を次世代につなぐ、という教育的な側面もある、という指摘もありました。 鎌倉野菜の努力も付け加えられました。
(2) 武士道について
「鎌倉は武士道精神発祥の地」であるが、「武士、あるいは侍には、戦士warriorのイメージがあるので武士道は世界には理解し難いのではないか」 との意見から、元寇の際に敵味方双方を区別せず祀った円覚寺の例があげられ、和歌山沖でのトルコ船の遭難救命の話にも話題がおよび、これこそ武士道精神で、この平和を愛する心が現代にも生きているはずで、今の鎌倉がとても平和な空間になっているのではないか、と議論は展開しました。 また、元帥海軍大将東郷平八郎が天園ハイキングコースの開拓をアピールし、天園の名付け親となったということから、鎌倉に脈々と生きているのは武士道というより武家文化では、という指摘も出ました。
(3) 史跡について
数年前に初めて鎌倉を訪れ、その後実際に鎌倉に引っ越してきたという参加者は、鎌倉の良さについて、「史跡の1つ1つはこぢんまりしているが、それらが沢山あるところがスゴイ」 と述べました。
そこから、世界遺産に登録されたところは一目でそのすごさが分かるが、史跡のひとつひとつが小ぶりである鎌倉は、全体としての「居心地のよさ」、「緑との共生」、「鎌倉を愛し、守り続けてきた市民」、「脈々と生きる武家文化」など、見えないものをも含めた「鎌倉の本当の価値」を世界にアピールしたらどうか、と議論は発展しました。
(4) 課題
 積極的な意見ばかりではなく、 「市民に関心がない」 「洞門山問題はどう解決する?」 「深沢のJR跡地に有害物発覚、どうする」 「鎌倉の良さは静けさなのに、夜中のバイクが問題」など、鎌倉の幾つかの課題も提出されました。
3.ワークショップを終えて
ワークショップも今回で4度目、議論の内容はかなり深化してきたように思います。
これまでの世界遺産登録を目指す活動では、候補地の史跡そのものについて重点が置かれていたように思いますが、今回のAテーブルでの議論のキ ーワードは緑、市民、環境、平和、文化であったと思います。
史跡に重点を置くと、たとえば、「どう守る 私たちの世界遺産」と言われても、市民としては何か他所事のような感が拭えず、無関心にならざるを得なかったように思います。 最近、近隣の丘陵地域も含めて候補地とするという方針になりましたが、これは、これまでのバッファゾーンとしての緑という考え方から、大きく一歩を踏みだしたものとして、市民は歓迎してよいと思います。
鎌倉では伝統的に市民が緑を大切に思い、護り続けてきました。市民が緑を護り、良い街にしようと努力することが結果として世界遺産登録につながるのであれば、それは市民にとって総力を挙げて目指すべきゴールとなるのであり、同時に、それ以降の活動の重要さも見えてくるのではないでしょうか。
Aテーブルの話合いは、進行補助をして下さった草場さんや、テーブルに着いた参加者の皆さんのおかげで望ましい方向が見出され、時間に追われた今回のWSでしたが、実り多い成果がありました。

Aテーブルの成果を発表する田川さん Aテーブルにおける討議風景
Aテーブルの成果を発表する田川さん
Aテーブルにおける討議風景
 
テーブルB報告   テーブル進行役 山村みや子

Bテーブルでは世界遺産登録を前向きにとらえるものの、登録が未だに足踏みをしている理由を出し合って、後半にはそれらを解決するための手立てや、市民がなすべきことを、提案としてまとめました。
登録後も視野に入れることができ、終始前向きな会話がはずんだことに進行役としてたいへん感謝しています。
参加者の紹介
参加者7名の内訳は市外在住者が2名、市内在住者が5名です。横須賀と横浜に住んでいるお二人はともに市の職員で、鎌倉山から初参加の方と前回参加の腰越の方、鎌倉ユネスコ協会会員、世界遺産登録協議会広報部会員、それに進行役です。
まずは自己紹介で鎌倉とのかかわりを話してもらって、お互いの距離を縮めることにしました。
次に議論のとっかかりとして、進行役から、「先月松沢県知事と松尾市長が文部科学大臣と文化庁長官を訪問、国の協力を要請し、推薦書案を平成22年度中に仕上げていくことを目指して、文化庁と協働していく」という進捗情報を提供しました。
キーワードを探す
「今日のWSでは“そろそろ鎌倉の本当の価値は何か”をつかみ、鎌倉の独自性を示せる内容を期待したい」と、進行役の福澤さんが挨拶の中で訴えられました。短い時間でそれらを探し当てるために、キーワードを探すことにしました。
登録がおぼつかない今の状況に対しては、“冷たいまなざし”にならざるを得ませんでした。みなさんの発言をキーワードでくくって見ました。
キーワード1 おもてなし
・観光客や修学旅行生に、市民自身が地域遺産を自覚し、おもてなしの精神を持って接していない。
・弁当を食べる場所や公衆トイレは十分ではない。
・路線バス乗務員が外国人に対して英語での対応が未だにできていない。
・京都とは違う、日帰り旅行に特化した観光ができるよう受け入れ側として工夫するべきだ。
・観光バスや人力車、タクシー、ガイド協会などのガイドが鎌倉の歴史や文化を来訪者に正確に伝えているか疑問だ。
キーワード2 遺産はなにか
・保存すべき建築物と守るべきまち並みを整理していくべきだ。(特にバッファゾーンでの話として)
・守るべき遺産の領域の再確認が必要だ。
キーワード3 遺産と市民生活との折り合い
・歴史的建造物と近代建築との間に、品格とセンスをもった調和が図られていない。(八幡宮と近代美術館はバランスが取れている)
・史跡の保護と現在の市民生活の共存についての折り合いがむずかしい。
・若宮大路周辺では商業主義ばかりが目立つ。看板などの景観が見苦しい。話し合いの空気がない。
・地域の景観は景観法だけでは守れない。住民同士の協力関係が必要だ。(主に一般の街の話)
・雑然としたまち並みはやめて、世界に通じる景観の美を作り上げたい。(今は多様性を許容する調和を追求しなければならないであろうが)
・テレビでは鎌倉のグルメ番組ばかりが目立つ。
・若者は世界遺産より商業とグルメに興味が片寄っている。
・商店街の考え方も千差万別、精神文化は浸透しにくい。
そして後半では、前半の課題を解決するための前向きな提案が出てきました。
そのきっかけとなったのは、「鎌倉にあるのは中世仏教文化であって、武家文化はどこにもない」というお一人の発言でした。これに、「円覚寺には蒙古戦の戦死者を敵味方なく祀った」ように、平和という形の武家文化が残っている、と広報部会長の内海さんが切り返されました。すると、「市民として武家文化や武家の精神を学ばずしておもてなしはできない。だからまず学ぶ場や機会が必要だ」と言う方向性が見つかりました。

提案1 市民が学ぶ場づくり
・新鎌倉アカデミアを創設し、鎌倉の歴史遺産講座を常設する。とりあえず、既存の施設を利用する。
・歴史都市の心臓部と言える博物館と埋蔵文化センターを急ぎ建設する。
・鎌倉の遺跡は点と線の文化、市民は名所・古跡を深く掘り下げる勉強を積み重ねてゆこう。
提案2 観光客が学べる場づくり
・鎌倉の歴史遺産を総合的に学べる観光センターと情報センター(登録には必要とされる施設で現在設置に向けて検討中)を設置する。
・図書館内に世界遺産コーナーを設け、担当者が常駐して遺跡や鎌倉の歴史を学んでもらう。
・市民と観光客が共通して利用できるガイドブックを作成する。監修者を置き定期的、永続的に更新する。
提案3 おもてなしを学ぶための場づくり
・商工会議所や観光協会、市は、観光バスやタクシー、人力車やガイド協会などのガイドに対して交流会的な研修の機会を設ける。
提案4 情報発信力
・大人から子供まで世代間格差なく鎌倉を学んでもらうためには情報発信力の充実が欠かせない。
・IT(インフォメーションテクノロジー)情報を充実させる。
・世界遺産のまちを知ってもらうにはソーシャルネットワーク(家族や友人・知人などを含む豊かな人間関係)を確立することが大切だ。
・世界に鎌倉を知ってもらうためには要人(例:オバマ米大統領)にアピールする。
 学ぶことにより商業者も市民も来訪者に対し「そっけない市民」をやめることができます。市民自ら自然を含めた遺産を守る意識づくりをじっくりとやり、鎌倉禅を学んだりすれば、自ら豊かな生活を送れます。
まとめ
登録に行き詰まり感があっても、参加者の皆さんが前向きになって、今をどう捉えているかを率直に発言してもらった結果、「学ぶ」ことにスポットを当てることになりました。誰 もが学ぶべき宝が身近に沢山あることに気づき、学ぶことに生きがいを感じ道端でさりげなく歴史を語り合う日常的な風景が鎌倉には似合います。
鎌倉に住んでいる誰もがその価値を認めて住んでいると思いますが、「歴史都市鎌倉に住んでいるから“責任ある市民”になろう」という精神文化こそ、今最も求められていることを、参加者の皆さんは強く訴えています。
登録推進協議会の設立総会で、前会長の養老さんが「このまちは何らかのはっきりした目標を掲げて動くということをしてこなかったように思う。抽象的なことでなく具体的なことでやってみよう」とおっしゃっていました。
これから一人でも多くの人がこの具体的なことを見つけ、ともに実践する仲間を増やしていくことで、鎌倉のまちが世界遺産のまちに変化していけるのだろうと思います。

熱心に説明をする山村さん Bテーブルにおける討議の模様
熱心に説明をする山村さん
Bテーブルにおける討議の模様
 
テーブルC報告  テーブル進行役 大竹正芳     (協力 山崎恵美)

はじめに
 Cテーブルでは進行補助役の山崎さんが報告を的確にまとめてくれました。進行役の私は補足として参加者個々のご意見をご紹介したいと思います。
「世界遺産登録の事務的なことは役所、街づくりは市民、と分離したい。武家の話ばかりでは市民も離れる、自分たちにつながる近代を守るのも大事」  「(長年市民活動を続けてきて)市民のため、を進めていけば良い街になる、市民がつくる街というのが大切」 「武家時代から現在まで環境と平和が息づいている、それを上手く発信できる施設がほしい」「観光客を呼ぶためでなく、世界遺産登録を手段に鎌倉の良いところを守っていく、景観と生活の便利さとどちらを守るか、市民自身が考え明らかにすべきだ、理解して守ろうとする感覚が大事」 「醒めた目でみると登録の基準は向こうの感覚・価値観なので、曖昧さを感じてしまう、街を良くしていけるなら世界遺産登録も価値がある、議論すべきことをはっきりとしないと人は巻き込めない」 「いまだに反対する人も多く行政も腰が引けている、WSに来る人々でなく反対する人に対しても声をあげるという次のステップに来ている、外―特に外国人に対しもっとソフトに、鎌倉に興味を持ってもらうよう、研究を」 「鎌倉は外から見てほっとする街、鎌倉時代の政権をとった場というだけでなく、朝廷による王政から武家による封建制へと変った(中世の始まり)、全国を統治する地としてはスケールが小さい、低い山に囲まれた小さな街の空間これがほっとする理由、市民が守ってきた、がキーワードになると思う」
こうみてくると、世界遺産登録が鎌倉のまちづくりのツールとして認識され、主役は鎌倉市民そのもので、外に対するアピール不足が見られるなどが、Cテーブルでの発言の主要なところ、と言えそうです。
(以下は主に進行協力の山崎さんのまとめです)
大学生、20代の社会人、鎌倉市議、推進協議会委員、まちづくり活動家、市外からの方と進行担当者というメンバーで話し合ったが、若者からの世界 遺産登録活動に対する戸惑いと、まちづくり手段として世界遺産登録を推進すべきだという意見から「鎌倉のよさ」を探りつつ、これからの課題へ、と話が及んだ。
話し合い
・世界遺産登録をすると、まちはどうなってしまうのか不安 : 20代、30代は世界遺産推進への動きはよく分からないという現状がある。その上で、もし世界遺産になってしまったら、鎌倉のまちは機能するのだろうか、という不安を抱いている。
・世界遺産登録は二次的なものであり、登録を推進しようと議論し合うことでまちがよくなるのが目的 : 議論を重ねていくことで、まちを美しくしたり、よりよいまちづくりを考えていくことができる。その延長上に世界遺産登録があればいい、という考えが多いようだった。
・収益という点では、すでに様々に活動しているということも話に上がった。鎌倉のグッズを作ってそれを販売しているということである。50年、100年後を考え鎌倉を魅力あるまちとして維持させるには、そうした、収益を上げるという現実的な努力も大切であるという意見が出た。
・世界遺産登録をするにあたって何をアピールすべきか : 今現在、登録への動きが進まない中、鎌倉の何をアピールするべきなのかが話の中心となった。「ほっとするまち」というのは、ほとんどの人が感じていることだった。「ほっとする」のは、スケールの小ささだったり、低い山(丘陵)に囲まれた地形だったり、神社仏閣が多かったり、路地が多かったり・・・という要素による、という意見が出た。
また観光をアピールするという点で、外国人に向けて「外国人がイメージする典型的な日本」をアピールして分かりやすくするべきだという意見と、分かりやすくなくても外国人は鎌倉のよさを理解していると反論する二つの意見があった。
・「まなざし」がテーマであるが、「鎌倉市民のまなざし」 と 「ユネスコのまなざし」はギャップがあるという意見から、それぞれのまなざしにある鎌倉の姿は?「ユネスコに向けて」は、武士道や封建制の始めという点、武士道を環境や平和とつながるという視点から考えていくと鎌倉の独自性が引き出せる、という意見が出た。一方、「市民が考える鎌倉」には、武士道という感覚はあまりない、むしろ市民活動や「ほっとする」などの日々の生活に密着した感覚的要素が多い という話だった。
もっと市民の視点を大切にすべきだということから、若者も議論に参加できるように発信すべきだ、という意見がでた。
鎌倉について立場により、色々な見方があるので鎌倉像を一つに固定するのではなく、異なる「まなざし」を受け入れる必要があるのかもしれない。
ただやはり世界遺産登録ということなら、鎌倉だけの、日本史だけの視点ではなく、より大局的な世界の中での位置づけが必要であろう。
・鎌倉は市民活動が盛んなので、それを大切に伝えていく。世界遺産へのアピールにも盛り込める。
鎌倉では、古くから市民活動が活発であった。さかのぼれば鎌倉時代の武士たちも鎌倉を奔走して、街を作っていた。つまり、武士もまちづくりの活動をしていたという意見が出た。また環境とも共生した生活をし、血を血で洗うような争いがあったが、それは平和に向けての動きであり、武士道というところをもっと掘り下げていけば、鎌倉の独自性がより顕れてくるのではないか、という意見もあった。市民活動と武士というところで、つながるのかもしれないという可能性を感じた。
・封建制の始まりという視点ももつべきだという意見が出た。さらに、ヨーロッパ中世の封建制とどう比較するのか・・独自性として表すか、世界史の封建制の流れの一つとしてとるか・・という点については、ヨーロッパの騎士道とは一線を画していて、土地所有の面からも本質的に異なり独自、と考える方がいいように思われる。
むしろ武家の都でありながら、なぜスケールの小さい都でありえたか、土地所有のあり方を考えると面白いと思う。
会場で映されていたパワーポイントにはその答の一端があった。「裁量権・監督権のみ持った小さな政府である。
おわりに
 「まなざし」というテーマを改めて考えると、さまざまな鎌倉像があると良く分かった。
世界遺産登録を推進するなら鎌倉の独自性をアピールする必要があるが、そのアピールが必ずしも住民などにはそぐわないこともある。
すると「何のための世界遺産登録か」という疑問も生まれてくるが、それは「あれかこれか」と一つに選択するものではないであろう。外に向けては外向きの鎌倉の独自性を主張し、内に対しては内の鎌倉を充実させていけばいいのである。そこに矛盾は生まれないはずである。
住民が求めているのは、古い遺跡や社寺、地形的特徴を残したいという思い、まちを美しくしたいという考えで、新しく変えてしまいたいのではない。
ただそれらが一部の人により議論されているのが現状である。もっと広くそうした動きが出てきてほしい。 また、鎌倉の「市民活動」という点がキーワードとして出てきた。武士道と市民活動のつながりをどうつくっていくか?
武士道の否定から市民活動を述べるか、類似性として述べるか、その辺が鎌倉の独自性を考える際に取り入れられると、もう少し新しい視点が生まれてくるのではないかと感じた。

発表する大竹さん テーブルCの話し合い
発表する大竹さん
テーブルCの話し合い
 
テーブルD報告  テーブル進行役 横川 啓

1.参加者の顔ぶれ
Dテーブルは市外から2人、市内が5人の計7人でした。市外からの参加者は1人が秦野市で、もう1人が逗子市です。
自己紹介の概略を報告します。
○鎌倉市在 Aさん…今回2回目の参加です。鎌倉の街づくりに興味があり、都市軸や町並みなどを研究している。
○鎌倉在住 Bさん…初参加。学生。ボランティアで英語の通訳をしています。世界遺産はただの冠だと考えていたが、深い考えがあると知ってからモチベーションがあがった。
○鎌倉在住 Cさん…初参加。ガイド協会で活動している。釈迦堂のがけ崩れをみて、史跡の荒廃に危機感を持っている。登録を決めるのはヨーロッパの視点か。武士のイメージが伝わっているか。
○鎌倉在住 Dさん…市の職員。史跡の荒廃は耳が痛い。鎌倉市の行政だけで守れるものではない。文化財が守れる枠組みが必要。
○市外在住 Eさん…自然遺産にかかわる仕事をしていた。当初は鎌倉の世界遺産登録に批判的だったが、今は日本にとって大切な土地であり、世界にアピールすべきだと思っている。森に抱かれて安心でき、癒される場所というイメージ。
○市外在住 Fさん…初参加。実朝の首塚を御祀りしている関係で民間同士、連携している。世界遺産というとNHKでの番組でみる程度。
2.第1部 「鎌倉とのかかわりや思い」
〜当日の中間報告を補強しつつ
参加者の顔ぶれを報告しつつ、議論になった点を報告しました。
(1) 鎌倉市の世界遺産登録は、一般的に(市外から) は観光という視点で見られている。
(2) 観光地鎌倉のよさとして感じていることは、歴史のほかに、森やお寺などの景観から、安らぎ、癒し、平和を感じ取っていることがある。
(3) 外国からの観光客の中には、歴史景観とプラスし武士道や武家文化などの文化的、精神的な要素を学びたいという要求が少なからずある。
(4) 市内在住の方の現状認識として、史跡の荒廃に対して、このままでいいのか、本当に守れるのかという問題意識が芽生えている。
第1部は短い時間の議論の中で、ほとんどの時間を自己紹介にとられてしまったので、第2部へつなぐ問題提起としての中間報告となりました。
3. 第2部「これからの鎌倉のあり方、鎌倉に求め  るもの、残せるもの」〜最終報告の補強
出された意見を箇条書きに報告します。
(1) 鎌倉には居心地のよさを感じている。歴史の積み重ねが空気になって現れている。市民生活を犠牲にしてまでやるものではない。
(2) 史跡を守るにはどうしたらいいか。守りだけでなく攻めの発想も必要ではないか。
(3) 遺跡の見える化が必要。武家とは何かなど精神文化的な資料を閲覧できる資料館をつくる。市民と行政の協働で、寄付を募り建設・運営できないか。
(4) 市民をその気にさせるには、ごみリサイクルの推進のように町内会を通して広報することが一番。町内会で世界遺産推進担当者を決めてはどうか。
(5) 文化財や史跡はお寺の持ち物が多い。持ち主が修復するとなると存続が難しい。
(6) バスの運転手は世界遺産登録のことなど知っているのか。観光の窓口になるいろいろな人たちが関わる必要がある。
(7) 自分が世界遺産に関心を持ったのは鎌倉塾で学んだから。鎌倉を学ぶことがいいきっかけになる。
(8) 歴史には疎(うと)いが、ストーリー性を持って説明されると興味が広がる。
(9) 広報に講演会のお誘いなどが多く掲載されているが、ばらばらという印象だ。世界遺産や鎌倉を学ぶという視点で整理し広報することは出来ないか。
(10) 他市に比べ市民が積極的である。市民団体が81団体も参加するというのは市民意識が高い。いろいろなNPO をコーディネイトするNPOができないか。
(11) 自宅の近所のお寺では、住職からのお話の後、境内のお掃除を行うなどの取組をしている。おかげで、お寺とのつながりが出来ている。
(12) 鎌倉は海があり、サーフィンなど多くの若者が遊 びに来ている。サーファー族や海で遊ぶ若者にアピールできないか。
(13) 市民の側に、「登録する」という意気込みが大切。
短い議論でしたが、市民目線で世界遺産とどう向き合うのか、重要な議論が交わされたのではないかと思います。初参加の人が多かった割には議論の方向性がまとまっていったのは、このワークショップの積み重ねがなせる業でしょうか。
最終的には、「登録が目標なのか、登録がスタートなのか」 「守りと攻め」 「何を大切にしなければいけないのか、何を捨ててはいけないのか」などの方向に向かっていきました。
最終的に私が報告した概要は以下のとおりです。
「世界遺産は登録が目標なのか。そうであれば世界遺産の基準があり、それにあわせて説明をしなければいけない。それは分かる。しかし、住民にとって、訪問者にとって大切なものがあり、それは登録の基準と同じなのでろうか。がっかりしたくないという発言があったが、自分たちのまちのよさを見出し、自分たちのまちに誇りを持ち、その住みよい環境を保ちたい、と多くの市民が考えたとき、その延長に世界遺産登録があったということではないか。その目標のために市民はがんばった。そうであれば、登録されなかったとしてもユネスコの見る目がないというだけのことじゃないか。」
4. まとめ〜当日のまとめをしながら思ったこと
○守る・愛する 
 鎌倉のまちやみどりを愛する人たちは、史跡の荒廃に危機感を持っており、何とかしたいと思っている。
その答えを「世界遺産登録」は持っているのか。持っているともいえるし、それは別課題ともいえる。
○攻める・発信する
 守るのと同時に攻めることが必要。攻めは発信。
首都圏に向けた発信、ITも活用し効果的に。 宣伝や学習、市民運動をコーディネイトしていく必要あり。
○「すみ続けたいまち」の延長としての世界遺産
 市民目線で考えれば、無理する必要はない。しかし、生活環境を考えるまたとないチャンスととらえることもできる。世界遺産という題材をもとに、史跡も含めた、歴史の中に生きる鎌倉という環境をどう守っていくのか、という議論を旺盛に進めたい。市民の自治が試される。

ノートパソコンを手に発表する横川さん テーブルDの話合い風景
ノートパソコンを手に発表する横川さん
テーブルDの話合い風景
 
テーブルE報告  テーブル進行役 高木規矩郎

Eテーブルの参加者は現役の電機メーカー技師、由比ヶ浜に住む女性、過去三回のワークショップに欠かさず出席し、東京からの視点で意見を述べてくれる大田区の工場経営者の三人、それに登録運動の現場から日常の仕事を踏まえて的確な助言を出してくれた市役所の世界遺産担当職員が一人。参加を予定していた二人が欠席だったので、幾分物足りないところもあったが、その分一人一人の発言時間が十分取れて、議論を深めることができた。今後引き続きワークショップが開かれるのなら、構成も各テーブル3、4人の少数精鋭で臨んだ方が効率的だと思う。
今回のテーマは「世界遺産へのまなざし」だったが、ユネスコへの文化庁の仮推薦が見送りになるなど鎌倉にとって一層厳しい現実の中での開催だけに、「まなざし」という表現が気になっていた。そこで進行役の独断で世界遺産にふさわしい街に対する「温かいまなざし」といつまでたっても登録されない「厳しいまなざし」に分けて、参加者の考えを聞き出すところから始めた。
まず「鎌倉に来るとほっとする。社寺がすぐそばにあり、魅きつけるものはそのままの形でのこしてほしい」、「鎌倉は楽しい。海、山、社寺とすべてがそろっている」といった「温かいまなざし」の指摘があった。だが「厳しいまなざし」が圧倒的に多かった。{世界遺産のものさしとみんながいいものと思っているものとが違っている}として「鎌倉はいいところなので、当然世界遺産になるべきだという考えはすてるべきだ」という指摘があった。さらに「なぜ世界遺産なのか、わかりやすい説明がない」とか「世界遺産をもとにしてどのように街を発展させていくのかというグランドビジョンがない」といった行政の姿勢を突く意見が続いた。市民の役割を考える討議では、世界遺産運動に無関心の市民があいかわらず多い現状が指摘された。この現状を打破するためには市民の気持ちをひっくり返すほどの衝撃が必要とされたが、何をどうしたらいいのか具体的な提案はなかった。また登録を推進していくには、イコモスの基準に合わせ て候補地の内容などを考え直して行くべきだとの意見も出た。「登録後の鎌倉のあり方を考えなければいけない」との意見には議論が沸騰し、登録だけを見据えて進められている現状を考え直さなくてはならないとの認識に落ち着いた。時間切れが迫っていたので、十分な議論ができなかったが、「『登録後』のあり方については、協議会や鎌倉市がどのような態勢で世界遺産に臨んでいこうというのかは、根強い市民の不安の根底にある問題の一つだと思う。ワークショップの単独のテーマとして取り上げるべきなのではないか」といった意見に集約された。
過去3回は鎌倉が世界遺産になるということを前提にしたかのような議論が続けられたが、今回は原点に戻ってワークショップのあり方を問い直すべきだと思った。運営自体もマンネリ化の印象が強い。テーマ設定自体が「世界遺産へのまなざし」と従来のものとの違いが明確ではなく、議論も従来の繰り返しのように思えるところも少なくなかった。最も困ったのは時間が短縮して設定されたことで、脂が乗ってきたと思ったところで、総括進行役の時間についての注文が入り、冷や水を浴びたようなことが何度かあった。テーブル進行役にとっては「揺れるまなざし」となったワークショップだった。
私は鎌倉の世界遺産に関係するブログを発信しており、第4回ワークショップについても開催直後に、「文化庁のユネスコへの仮推薦が見送りになるなど鎌倉の環境は一段と不鮮明になってきた時期の開催で、市民の関心を知る上でも興味があったのだが前から準備したテーマで環境変化に順応できず、停滞ぶりが浮き彫りになった」と辛口の批判を流した。(http://blog.livedoor.jp/kikurotakagi/archives/1459633.html)
Eテーブルの参加者からも「せっかく皆が集まる機会なら、字づらにできなくてもホンネっぽいことを出し合えると、議論が深まるのではないだろうか」、「十分な議論ができずに終わってしまってちょっと消化不良な感じがした。世界遺産登録活動自体が目的となっているような気がした」などブログへのコメントが寄せられた。
世界遺産の担い手である市民の本音を聞き、行政との意見交換の上でもワークショップは強力な媒体になるはずである。市民の参加を少しでも広げ、ワークショップを今後も引き続き続けていくためには どうしたらいいか。じっくり話し合ってみる必要があるだろうと思った。
テーブルEの討議 発表する高木さん 終盤の会場風景
テーブルEの討議、後方に左からD、B(奥)、
C、A(奥)の各テーブルが見える。
発表する高木さん
終盤の会場風景

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