第一回と第三回のワークショップ報告書では意見等の貼りこみシートを、リアルに再現することを試みたが、必ずしも読みやすいページではなかった、という意見があり、今回は各テーブルの感想・意見などを箇条書きに整理して、テーブルにおける発言の記録を残そう、ということになった。
Aテーブル
「本当のValueは何かを外国人に理解してほしい」 「(10年前に初めて来て)1つ1つがこじんまりしている(寺社)、だが個性の集合体がスゴイ」 「訪れれば解る魅力−歩いて振り向けば山がある」 「武士道精神発祥の地」→「今の人にも生きているはず」 「侍−戦士のイメージ⇒これを理解するには(武家文化という線?)」 「敵味方双方を区別せず祀る(円覚寺、・・)」 「避難船(トルコ)の救命の話」(和歌山沖の話) 「トラスト発祥地 自然の豊かさ」―「古都法で守られている(山)」 「天園ハイキングコース開拓をアピール」(東郷平八郎:天園のコースを推奨) 「鎌倉に移住する人の思い(居心地のよさ)」⇔「緑と共生する、頼朝が都をおいた鎌倉は、今はとても平和な空間」 『心に平和のとりでを築かなくてはいけない』に一致するのではないか⇔「緑と旧市街がセット で守るべき(明日につなぐ)」
「広町の自然 復元(田んぼ等)市民ボランティア」 「COP10へinput !実績」 「更なる宣伝?」 「映画化できる!」 「市民ボランティアによるイベント(収穫祭・・) 目的:生態系の復元」「行政と市民のタイアップ」 「自然は放置すると荒れる(里山に)・ボランティアが必須」→「人間との共生」 「鎌倉野菜(無農薬)の隠れた努力」→but→ 「思っていても動かない市民もいる」 (引続き否定的な発言を挙げる) 「市民に関心がない」 「洞門山問題はどう解決する?」 「深沢のJR跡地―有害物発覚 どうする」 「騒音問題(夜中のバイク)」
「本質はよい環境づくり」⇔「山崎の『青空教育』(人の育成) 自然との触れ合い」 「Invisibleな価値(ex.武士道)を明示・活用する(石見銀山はInvisible)」 「観光目的ではない街づくり−市民の喜び この合致が世界遺産の価値となる(本質を究めること)」 「各地区単位に住民の問題を吸い上げ、同時に市全体のコンセンサスをとる事」
Bテーブル
1.「世界遺産になるかどうか以前に、市民が自分達の地域遺産を毎日見に来る人達に、おもてなしをしているか・修学旅行の生徒 ・観光客に対して」
「バス乗務員(路線バス)説明不足(特に外国人に)」 「日帰りへの特化→京都などと違う工夫を」 「景観・看板見苦しい 見てもらう場所ははっきり判るように ガイドが分っていないcf.八幡宮のいちょう 自分の町を知らなければ」
2.「鎌倉の町の建物 何を遺産とすべきか 守るべき物は何かをしっかり認識すべきだ」 「(まなざし・精神文化)守らなければいけない遺産の領域の再確認」
3.「史蹟の保護、世界遺産と現在の市民の生活の共存について、どこで折り合いをつけるのか、難しい」 「近代建築との協和→八幡宮の近代美術館 品とセンス」 「世界遺産には、精神文化が必要なのに 通りにくいのか、商店街の皆さん千差万別 市民も」
4.「武家の古都 鎌倉を象徴しない、 仏教文化を形づくるモノの整備」 →提案 「知ってもらうことが一番!」
(1)市民が理解を深める 「講座の開設、新・鎌倉アカデミア開校」 「学習センター地下は?その他既存の市の施設の利用 箱モノ常時開放」 「博物館、埋蔵文化財センターの建設」 「あせらず、ジックリと着実に勉強をつみ重ねて行きたい。鎌倉の遺跡は点と線の文化である。名所古跡を、深く掘り下げたい キレイにしたい、雑然とした町並み・ドギツイ看板のハンラン 景観の美は世界に通じる」
(2)観光客が学べる場づくり
「鎌倉に来る人に知らせること、 遺産を知らせるスポット」 「観光センター、情報センターの設立」 「図書館内に世界遺産のコーナーを設け、常時担当者の常駐を求めたい」 「市や商工会議所が話し合う交流会」 「正確なガイドブック(監修は?)を定期的、永久的に」
(3)市民としておもてなしをできるように学ぼう
「町をガイド まとめて指導」 「商工会議所や観光協会・市は人力車・タクシー、ガイド業の人たちの研修をすべき」
(4)情報発信力
「メディアへの情報発信のし方→グルメだけ」 「観光客→IT
情報の充実(現在進行中)」 「情報発信ソーシャルネットワ
ークの確立」 「世界に鎌倉を知ってもらうには?興味をもっ
てもらうには?オバマさんにTwitterで『鎌倉なう』ってつぶ
やいてもらう SNS.を利用」
○「学ぶことにより、そっけない市民をやめる! 自ら遺産を
守る、緑も」 「市民も、もっと禅を知る」 「商業者さんこそおもてなしの心を」
Cテーブル
〈鎌倉のよさ・長所〉
「まちがコンパクト、生活と密着、神社仏閣が多い、外国の人にも魅力、山に面した所にお寺がある、特徴的」 「低い山、かこむ山、スケールの小ささが『ほっとする』のでは」 「環境に文化が息づいている」 「『暖かい静寂にひたれる』外国人の目から見た鎌倉のよさ」 「『日本』というふんいきを味わえる、ほっとする、丘陵部を大事にしようとする流れ(古都保存法から)、江ノ島・稲村ケ崎で富士山が見られる、景勝地としての価値」 「武家の古都として、活動そのもの(市民活動)を評価、自然を守ってきた」 「明治以来の別荘文化」
〈これからの課題や提案〉
「封建制のはじまり、という視点」 「封建制の中でも特殊性をアピールすべきか」 「世界的な視点からの鎌倉の意義が必要」 「土地所有のあり方、歴史的な部分」 「『外国人に売り 出す』という動きが市民の感覚からはなれている」 「外国人にとって身近な部分に興味をもってもらうようなアピールの仕方を工夫すべき」 「(世界遺産への話し合いの活動が)若者が鎌倉を知るきっかけに(なればいい)」 「武家を強調すると市民の動きとはなれていく」 「反対派の人に対してどう声をあげるか」 「魅力あるまちにするにはどうするか・・・お客さんは来るけどお金はおちないという現状」 「森林保全、文化財保護のためのお金をつくる、自分達が収益を生む活動をする」 「まちをよくしよう、という市民のまなざしが大切
→若者世代もそういう意見をもてれば」 「何を守るか、価値観やアイデンティティーをしっかり持ってほしい」 「議論する項目をまとめて市民を巻き込んでいくべき」 「まちのインフラを考え、美しいまちにするためにはどうしたらいいかを考えていくべき、手段としての世界遺産」 「何のために登録するか、もっと明らかにして市民の生活を守るのか、町を守るのか考えていくべき」 「世界遺産にしたときのメリット、デメリットの両方を明らかにして提示するべき」 「インフラ等現実的な話をしていく時」 「武士道・市民活動→環境と平和についての活動で同じもの、それが分かるように発信を」 「市民がつくるまち→市民のためのまちへ」 「武士道の発祥―横浜の都の歴史などとからめてアピールすべき」 「世界遺産へという活動がまちづくりになっている」 「市民活動そのものを世界遺産へ」 「市民活動とどうつなげる・・・民主主義につながっていく?」 「世界遺産への動きと市民のまちづくりは、別の動きとして分けて考える」
〈世界遺産登録、鎌倉のよくない部分等〉
「休日も人がたくさん、世界遺産にする必要があるのか? 住んでいる人の生活はどうなるの?」 「外国の人が史跡について知る場所がない」 「まちがどんどん変わってきてい
る。昔のおもかげが減ってきている」 「人力車の人が適当な説明をしている」 「発信力が弱い」 「まず、街並を美しくする発想を→市民に伝わってこない」
Dテーブル
〈鎌倉についての観察・感想〉
「このまちの居心地のよさ」 「鎌倉は行事が多い」 「鎌倉市民は出たがり (沢山のNPO、行事等)」 「鎌倉のことを知りたいと思っている人は多い」
〈望み、意見、提案など〉
「地元のお祭りをつなげる」 「市民と行政が手を組んで寄付を受ける仕組みができないか」 「町内会の意識づけから始めてはどうか」 「攻めの保存と守りの保存」 「沢山あるNPOをまとめるNPOが必要」 「ストーリー性をもって鎌倉を知ることができればいい」 「世界遺産と関係なく大事なものを守るという意識が大切」 「若い人(サーファー等)への意識づけが必要」 「(前回WS)地元の方が勉強できる場所が必要→自分の街に誇りを持てる」 「見えないものの『見える化』」 「古都として国の研究機関があってもおかしくない」 「社寺でお話を伺ったあとに、ボランティアで清掃や保存等を、セットでする」 「鎌倉=武家文化と海外の人は見ている、と感じる」 「武家といっても戦うという側面でない部分(平和的なもの)をアピールしてはどうか」 「市民の快適性・居心地のよさを犠牲にしない」 「資料館的なものはほしい(金沢文庫のような学習の場)」 「世界遺産になれなかった時に、反動が出るような運動はよくない」
Eテーブル
〈鎌倉に対する暖かいまなざし−「居心地がよい」〉
「鎌倉に来るとほっとする ・社寺がすぐ傍にある ・人をひきつけるものはその形でのこしていきたい」 「鎌倉は楽しい ・全部そろっている 海、山、社寺など」
〈鎌倉の世界遺産への厳しいまなざし〉
「世界遺産を誰がやっているのかが不明」 「世界遺産の物差しと、みんながよいと思っているものとが違っている」→「鎌倉はよいので当然世界遺産になるべき、という考えは 捨てるべき」 「中身が少し薄い―なるほど、と思えるものが必要→いかに武家の古都というのが重要なのか、ということが分かりにくい」 「24史跡のうち、ぱっと見て『すごい』と思うものは、4箇か5・6箇ぐらいしかない→世界遺産の物差しに合わせるべき」 「世界遺産を基にして、どのように市を発展させていくのかが不明確」 「鎌倉が好きな人の方向がみんな違う―鎌倉が好きな人の中でも『世界遺産とすることが、なぜ鎌倉のためになるのか』ということが周知されていない」 「物証がなければならない→資産から組み立てを行うべき」「なぜ世界遺産なのか、誰に対しても分り易い説明がない」「現状では無理です、根本的に見直すべきです」
〈鎌倉に対するまなざし〉
「最初は当然なると思った→今までやっている中では難しいかな」 「世界遺産には賛成―しかし現状のまま進めることには反対」 「やっぱり世界遺産になった方がよい」
〈「古都」?〉
「政権のみであると、社寺との関わりが薄くなる→禅宗文化を重視するべき」
〈世界遺産についてこれからどうしていくのか〉
「イコモスの基準に合わせて登録をめざすべき→登録には何が必要かを逆算していく」 「・世界遺産をやる人 ・それ以外の大切なものを考える人 の、2つの基準でやってはどうか」 「登録されたその先を考えなければならない→登録後の心配を払拭」
〈無関心な市民にどうしていくか〉
「よいことを語り合う ・実利がある ・誇りが持てる」
「半数以上の無関心な人の気持ちをひっくり返すほどのものが必要」